
「シワとかシミにレチノールがいいって聞くけど効果あるの?」
「トレチノインと市販のレチノールは何が違うの?」

「そもそも外用薬で、シミとかシワが改善するの?」
年齢を重ねるとともに、シワやシミが気になる人も少なくありません。
シワやシミに悩まされている人は、トレチノインやレチノールについて耳にしたことがあるでしょう。
今回、トレチノインと市販のレチノールの実際の効果や違いについて深掘りしていきます。
シワやシミ、ニキビに悩む方の助けになれば嬉しい限りです。
トレチノインはシワ、シミの治療薬
一昔前までは、シミやシワができてしまうと、美容手術を施すしか改善が難しいとされていました。
しかし、近年シミやしわ、ニキビまでをも改善する効果が認められた成分があります。
それが今回のテーマであるトレチノイン(トレチノイン酸)です。
トレチノインとは、ビタミンA(レチノール)誘導体の一種で、日光性色素斑などのシミや肝斑、ニキビの治療に使われています。
アメリカFDAに承認されているため、世界ではシワ、シミ、ニキビの医薬品として有名ですが、日本ではまだ認可がおりていません。
そのため、トレチノインは皮膚科や個人輸入でしか手に入らないのです。
トレチノインの実際の効果
実際、トレチノインが私たちの肌にどのように作用し、シミ、シワ、ニキビを改善するのでしょうか。
まずは、そのメカニズムについて簡単に見ていきます。
トレチノインの最もポピュラーな効果は、肌のターンオーバーを促進し、肌を再生するというものです。
シミの改善
トレチノインは、肌の表皮細胞を分裂、増殖させ肌のターンオーバーを活性化するわけですが、このとき、表皮の深くにあるメラニン色素も外に押し出してしまいます。
このメラニン色素の排出は、約2〜4週間かかり、その間に漂白作用のあるハイドロキノンを併用して新しいメラニンの生成を抑制することで、結果的に表皮がメラニン色素の少ない新しい皮膚に生まれ変わるというわけです。
これがシミを改善するメカニズムです。
トレチノインとハイドロキノンの併用がシミに効果的とされています。
ニキビの改善
ニキビは、皮脂腺の機能が過剰になるとともに、毛穴の入り口が角質で塞がれ生じるものです。
トレチノインを使うことで、肌のターンオーバーが活性化し、毛穴が塞がりにくくなり皮脂の働きを抑える作用が期待できます。
その結果、ニキビの改善につながります。
シワの改善
トレチノインは、肌のコラーゲン増性を促す貴重な成分です。
この作用により、肌のハリを取り戻し、シワを改善する効果が期待できます。
ただし、深いシワに対しては、3ヶ月程度使用する必要があります。
「シワにはレチノールが効くんじゃないの?」
と思われる方も少なくありません。
そこで、トレチノインとレチノールの違いについて解説します。
市販のレチノールの真実
シワやシミにレチノールが効くと耳にしたことがある人もいるでしょう。
化粧品や医薬部外品の成分としてトレチノインが認められていない日本においては、レチノールの方が耳にする機会が多いです。
実際、化粧品会社が販売している商品では、トレチノインの代わりにレチノールを配合しているのが現状です。
このレチノール配合の商品で、トレチノインの効果がうたわれているものを私も目にしたことがあります。
そもそもレチノールは、簡単にいえばビタミンAの別称です。
実際、レチノールの効果はトレチノインの100分の1しかないのです。
レチノール配合クリームを使用したところで、トレチノインのような効果は期待できないことを認識しておきましょう。

トレチノインの副作用
トレチノインはレチノールの100倍という強力な効果が期待できます。
そのため、注意しなければならない副作用があります。
それは、下記のような反応性の皮膚炎です。
- 皮膚が赤くなる
- 角質がポロポロ剥がれる
ただし、この症状はアレルギー反応ではなく、トレチノインが効いている証拠です。
これらを防ぐためには、十分な保湿が必要になります。
補う価値のある成分は?
肌のバリア機能を強化するために、効果のある成分について少しだけ解説します。
実際に健康な肌に導いてくれる成分がセラミドです。
セラミドは、表皮の表面層である角質層に存在する間質細胞の一つです。
セラミドの役割は、水にも脂にも馴染まないという特殊な性質による、角質層で水と脂が重なり合う構造を保持することです。
この機能こそ、水分の蒸発を防ぐと同時に、外部の刺激から肌を守ることにつながります。
水とも脂とも混ざらない複雑な機能は、他の化粧品成分では代替えができません。
セラミドは、肌機能を正常に整え、肌の自己再生能力を高める補う価値のある成分というわけです。
美白化粧品の罠
巷によくある、美白化粧品。
シミが改善すると思って使用している人も少なくありません。
この美白の定義は、肌の色の変化を予防するものです。
つまり、美白化粧品を使ったからといって、肌が白くなるわけではありません。
メラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐだけであり、治すわけではないことを抑えておきましょう。
これ以上シミを増やしたくなければ、効果が実証されている紫外線対策と摩擦対策、皮膚科治療を強くお勧めします。

参考文献
1) Yoshimura K, Harii K, Aoyama T, et al. Experi ence with a strong bleaching treatment for skin hyperpigmentation in Orientals. Plast Reconstr Surg, 105: 1097-108; discussion 1109-10 2000
2) Yoshimura K, Harii K, Masuda Y, et al. Useful ness of a narrow-band reflectance spectropho tometer in evaluating effects of depigmenting treatment. Aesthetic Plast Surg, 25: 129-33, 2001
3)Chan R, Park KC, Lee MH, et al. A randomized controlled trial of the efficacy and safety of a fixed triple combination (fluocinolone acetonide 0.01%, hydroquinone 4%, tretinoin 0.05%) com pared with hydroquinone 4% cream in Asian patients with moderate to severe melasma. Br J Dermatol, 159 697-703, 2008
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