VLP Therapeutics社の新型ワクチンは、自己増殖RNAを有効成分とし、DDS技術の1種であるLipid Nanoparticle(脂質ナノ粒子)を用いた製剤です。
この一文だけでは、VLP社のワクチンがどのようなものかよくわからないですよね。
今回、国産の新型ワクチン、レプリコンの特徴について、比較的わかりやすく解説しました。
レプリコンワクチンの特徴とは?
体内に投与した後、RNA増幅が起こる機能を足したものを自己増殖RNA、レプリコンといいます。
早速、レプリコンワクチンの特徴についてみていきましょう。
摂取量を大幅に減らすことができる
mRNAワクチンは、RNAを細胞に運ぶだけで、そこからタンパク質の合成が始まります。
それに対して、レプリコンワクチンは、RNAを増やすタンパク質をまず増やします。
そうすることで、RNAの量、つまり抗原を大幅に増やすことができます。
そのため、少量の摂取で済むというわけです。
さらに、効果の持続時間も長くなることが期待されています。
また、スパイクタンパクを全部使うのではなく、一番重要な部分だけを使い、ウイルスの外側の殻の代わりに脂質でRNAをくるんでいます。
製造に時間がかからない
レプリコンの粒子が127gくらいあれば、日本の人口(1億2000万人)分くらいのワクチンを作ることができます。
他のワクチンはどうかといと、DNAワクチンの場合は同じ127gで3〜6万人分くらい、mRNAワクチンは約60万人分くらいです。
管理が容易
ファイザー製、モデルナ製のワクチンは、マイナス80℃という超低温で保管しなければいけません。
しかし、レプリコンワクチンはプラス4℃で1〜2ヶ月安定して保存することが可能です。
今後、粉状で水に戻すタイプのワクチン開発の研究も進め、常温で1〜2年保存可能な未来が訪れるかもしれません。
また、KMバイオロジクスが開発中の、不活化ワクチンも冷蔵での保存が可能です。
ちなみに、こちらの不活化ワクチンは、すでに治験(臨床試験)をはじめており、2022年春までに生産体制を整える予定です。(2021年8月現在)
品質が良い
先日、モデルナ製ワクチンの異物混入がありましたか、既存のmRNAワクチンは、ロット番号ごとに品質が異なっています。
それと比較して、現在開発中の国産ワクチンの品質は保証できるそうです。
VLPTジャパン
VLPTジャパンと聞いて、初めて耳にする方も多いでしょう。
VLPTジャパンは2020年に、米VLPセラピューティクス子会社として設立された企業です。
創業者の赤畑氏は、東京大学教養学部を卒業後、京都大学ウイルス研究所の速水正憲教授のもとでHIVワクチンの研究開発に携わり、その後ウイルス様粒子(VLP)を使ったチクングンヤ熱ワクチンを開発。
現在は米VLPセラピューティクスのCEOで、VLPTジャパンの代表職務執行者を務めています。
今後の研究に注目が集まります。
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